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2025.02.18

弊家物語 その2 〜華麗なる三変化〜|政策・メディア研究科委員長 高汐 一紀

「どこのカレーが好き?」
「うーん、ウチのやつかな..」

そう答える人は多いだろう。かく言う私もそのひとり。

とある週末、「さて何を書こう?」と考え始めたのが午後6時過ぎ。前回は万学博覧会直後。そこから今日までの大きなイベントといえば、卒プロと修論。でもネタにするには少々生々しい。アレコレ考えているうちにすっかり日も暮れてしまった。窓の外は真っ暗だ。

おなかが空いていたのがいけなかった。頭の中がカレーで一杯になってしまった。何がきっかけだったのかは思い出せない。加藤(文)さんの研究会のフィールドワーク展を訪れた直後だったからかもしれない。冷蔵庫を開く。十分な量のお肉(牛の切り落とし)があるのは知っている。必要な野菜もある。「うん、イケる..」。我が家のカレーは3日間プログラムだ。覚悟を決めた。

初日の材料(4人分)とレシピは以下の通り。
●  じゃがいも 6個、たまねぎ 1個、にんじん 1本(適当)
●  牛肉(薄切り・切り落とし) 200g(これも適当)
●  にんにく 1片、おろし生姜 適量、生七味 適量
●  あごだし 3カップ
●  醤油 大さじ2、九州醤油(甘口) 大さじ2、みりん 90ml(こんなもん)
●  サラダ油 適量、ごま油 少量

  1. じゃがいもはひと口大に切り、水に少しさらす。たまねぎはくし切り、にんじんは乱切りにする。牛肉はひと口大に(適当)。
  2. 鍋に油を熱し、スライスしたにんにく、たまねぎ、牛肉、じゃがいも、にんじんの順に加えて炒め、ごま油を少量回しかける。
  3. あごだしを注ぎ、沸騰したらアクを取る。醤油、みりん、おろし生姜、生七味を加えて落としぶたをする。再度沸騰したら20分ほど煮込む。

もうお気づきだろう。いま作っているのは肉じゃが。それも鍋一杯に作る。繰り返しになるが、我が家のカレーは3日間プログラム。そもそも初日の今日はカレーを食べられない。肉じゃがといっても明日以降への仕込みとして、にんにくやらしょうがやら、普通なら加えない素材をその日の気分でいろいろぶっ込むので、まぁ美味い!あごだしと九州の甘口醤油を使うのも他の家とは違うかも。これをおかずに白米をかっ込んで初日は終了。

2日目、昨夜の残りが入った鍋を冷蔵庫から引っ張り出し、カレーに必要な量まで水を加えて火にかける。既に煮込みのプロセスは完了しているので、沸騰したら火を消してカレールーを投入。スパイスを何種類も組み合わせて、なんてことはしない。普通にスーパで手に入る、皆さんご存じのブランドのもの。ただし2種類。一方は、りんごとハチミツの入ったアレの中辛。もう一方、は若干オトナ向けパッケージの辛口。この2つを同量使う。ケチャップととんかつソースを少々、仕上げに牛乳を適量加えて弱火で少し煮込む。2日目にしてようやくカレーの完成。肉じゃががベースなので、あごだしと醤油の効いた和風カレー。これが我が家の定番。いや、マジで美味い!!

3日目、いよいよ弊家カレーシリーズの最終日。もちろん2日目(3日目?)のカレーをそのまま食べてもいいのだけれど、最後にもうひと手間。いつもそれほど多くは残らないので、だしつゆでもう一度希釈。ゆでたうどんと合わせて、最終形態のカレーうどんに。あれば海老天と半熟卵をのせ、小口切りした小ねぎを散らして完成。当然、美味い!!!今回も大満足。

以上が、我が家がカレー漬けになる3日間の全貌だ。最近は芋煮からのカレーの流れも気に入っている。ウチの芋煮は醤油ベースのいわゆる内陸タイプ。牛肉は一緒だけど、里芋、長ねぎ、きのことこんにゃくが入った変わり種カレーもまた、良き。芋煮カレーの場合、最終日はうどんではなくお蕎麦。特に理由はなく、ただなんとなく。

私には、諸々行き詰まるとキッチンに立つ癖がある。砥石を準備して包丁を研ぐ時間もまた、ココロを無にしてくれる。現実逃避かもしれない。身近な人に食べてもらうのも好き。Twitter(現X)で簡単レシピを紹介することも度々。140字で伝えるのはなかなかに難しいけれど。コロナ渦前には、βヴィレッジのキッチンでこのカレーをラボの学生達に振る舞ったこともあった。滞在棟2に備え付けの寸胴鍋いっぱいに作った。その日のうちに提供しなければならなかったこともあって、第一形態の肉じゃがを試食できたのは私だけ。人目に触れることもなく、そのままカレーに。肉じゃがとしてのプライドをズタズタにされ、中のいもたちはさぞ私のことを恨んだであろう。申し訳ないことをした。

最近はそのような機会も減ってしまったけど、また皆にご馳走してあげたい。らぼメン各位、何を食べたい?


この日記が公開される2月18日は、環境情報学部の入試日ですね。受験生の皆さんがこれを読むのは、試験が終わってからでしょうか。持っている力を存分に発揮できましたか?私も春にキャンパスで皆さんに会えることを楽しみにしています。キャンパスで見かけたら声をかけてくださいね。では、4月にまた。





高汐 一紀 大学院政策・メディア研究科委員長/環境情報学部教授 教員プロフィール